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のいきさつがよく理解できておりません。しかし、初対面の母親が私に、「旦那様、ギャンブルなんかお好きですか」と話し掛け、私が思わず、「えっ」と聞き返すと、「いや、私は競輪、競馬、ボートなんでもやります」と答えたのをはっきりと覚えております。
こうして母親はD君を引き取りましたが、その次の日から、毎晩のように私達に電話がかかってきました。「Dちゃんがわたしになじまない」、「言うことをきかない」、「反抗する」、「どうしたらいいか」。家内は泣きながら、「お母さん、Dちゃんが私たちにすっかりなじむにも長い時間がかかりました。どうぞ忍耐して下さい」と言いました。母親は数カ月後、D君を大阪に住む知人に預けました。しかし、その知人への養育費も滞りがちで、D君は食事や衣類にも事欠く状態が続きました。どうしようも無くなった母親は、福井市の児童相談所へ連れて行き、D君は教護院へ入所しました。
無理解で忍耐心のない母親の言う事を聞かない、というだけで、どうして小学校の下級生が教護院へ入れられるのか全然、納得できませんでした。さいわい、そこの先生方がD君を大事にしてくれたので、D君は救われたと思います。しかし、教護院の生

 

 

 

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